脳機能の健全さに左右される子犬の学習能力は、、子犬が家族の一員として愛される上での重要な要素となります。新しい子犬を迎える際、家に迎えて数か月以内にかかりつけの獣医師の診察を受けることが一般的です。フードの選び方等の知識は、飼いはじめの頃にはよく話題に上りますが、この時期だけではなく、全てのライフステージにおいて話し合うことが大切です。
オメガ3脂肪酸の1つであるドコサヘキサエン酸(DHA)は、脳の灰白質と白質にとって重要な構成要素であり、どちらも記憶力と学習能力にとって極めて重要です。DHAは、神経細胞の細胞膜に高い濃度で存在し、神経シグナルの伝達に欠くことができません。また、神経伝達に極めて重要な役割をもつ髄鞘の構成成分でもあります。発育中の脳では、脳が本来持つ能力をすべて発揮させるために、十分な量のDHAが必要です。DHAの不足は、神経と視覚の発達不全に関連します。魚油由来の脂肪酸は、DHA及びその他のオメガ3脂肪酸の優れた供給源です。
目の網膜は中枢神経系への窓口であり、脳の健康状態を示す指標となることができます。網膜電図(ERG)などを使って網膜機能を測定することで、網膜と脳の発達の指標を非侵襲的に測定することができます。ある研究では、妊娠中の母犬に対し、DHAを添加したフードが子犬の離乳までの間、給与されました。発育期間中により高濃度のDHAを含むフードを与えられた子犬は、低濃度のDHAを与えられた子犬と比較して、ERGにおいて、網膜の機能が優れていたことが明らかになりました。これは、フードに含まれるDHAが、網膜と脳の発育を強化することを示しています1。
さらに、ピュリナの研究では、DHAを含む栄養補助食品は、子犬の記憶力、訓練能力、問題解決能力を向上させたことが示されました2。
DHAを含む栄養補助食品を生後3~16週間から与えられた子犬は、対照食を与えられた同腹仔よりも迷路試験を25%以上も速く終了しました2。
1. Heinemann, K. M., Waldron, M. K., Bigley, K. E., Lees, G. E., & Bauer, J. E. (2005). Long-chain (n-3) polyunsaturated fatty acids are more efficient than α-linoleic acid in improving electroretinogram responses of puppies exposed during gestation, lactation and weaning. Journal of Nutrition, 135, 1960–1966
2. Reynolds, A. J., Waldron, M., Wilsson, E., Leavitt, Y., Dunlap, A., Bailey, K. (2006). Effect of long-chain polyunsaturated fatty acid supplementation on mental stability, problem-solving ability, and learned pattern retention in young, growing dogs. Proceedings Nestlé Purina Nutrition Forum, p. 74