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ライフステージ別の栄養

成長期、維持期、繁殖期、高齢期の各ライフステージにおける犬・猫の栄養要件に関する実践的な情報。

4 頭の仔犬に授乳する茶色のラブラドールレトリーバー

成犬と子犬​

妊娠・授乳期の母犬と子犬​の栄養   

適切な栄養を与えることは、繁殖を成功させるために欠かすことができません。​発情期、妊娠期、授乳期にはそれぞれ、最適な受胎、胎児の発達​と出産、および新生子の生存率向上のためには​この時期に必要な固有の栄養要求があります。

青のグラデーションの背景
ご存じでしたか?

授乳期は、ライフステージの中でも​栄養が最も必要な時期であり、成長期よりも高い栄養要求​を満たさなければなりません。

キーメッセージ


雌犬の妊娠・出産 

  • 最適な受胎、子犬の適正な出生体重​、死亡率の低下のためには、雌犬が交配前​に理想的な体型になっている必要があります。
    • 交配直前または妊娠初期の 6 週間は、成長と繁殖を目的とする総合栄養食​(子犬​用)に切り替えます。こうすることで、これからの妊娠や授乳に備えて高エネルギー・高栄養の食事​に雌犬を慣れさせることができます。フードを切り替える際は、消化不良を防ぐために 7 日間かけて徐々に新しいフードに切り替えていく​ようにします。
    • 妊娠からおよそ 3~4 週間は、フードを変更しない​ようにします。これは、多くの雌犬で「つわり」が生じ、食物摂取量が減ることがあるためです。  この時期に食餌を切り替えると、新しいフードを拒否することにつながる可能性があります。
    • 妊娠初期におけるカロリーの過剰摂取を防ぐには、給与量​の管理がきわめて重要です。

  • 9 週間の犬の妊娠期間のうち、第 6 週以降は給与量​を増やします。
    • 妊娠期間の最初の 5週間は、雌犬のエネルギー必要量は維持期と同様です。
    • 交配時に雌犬がやせ過ぎない限りは​、妊娠第 5 週に達する前に食事量​を増やすことは推奨されません。

妊娠中の雌犬のエネルギー必要量

1週目から5週目まで:維持のために成人と同じ必要量、6週目。維持レベル+10%、7週目。6週目+10%、8週目 7週目+10%、9週目 8週目+10
  • 妊娠期最後の 3~4 週間になると、雌犬のエネルギーと他の栄養素の必要量が増加します。
    • 犬の胎子​は、妊娠期最後の 3~4 週間で急速に成長します。
    • 雌犬のエネルギー必要量は、子犬​のサイズに応じて、25~50%増加します。
    • 食物に含まれる DHA(ドコサヘキサエン酸)、つまりオメガ 3 脂肪酸は、子宮内と分娩後の両方で子犬​の神経系および視力の健全な発達をサポートします。
    • 高品質な総合栄養食​の子犬​用フードは​、必要なすべての栄養素が供給されるため、サプリメントなどの補助食​は必要ありません。
  • 妊娠期最後の 3~4 週間は、1 日複数回​に分けて給与​するか、母犬が自由に食べられる自由採食方式​にします。こうすることで、胎子の成長により食事​や消化のための腹部の空間が狭くなってきても、母犬は十分に栄養を摂取できます。

  • 授乳期は、ライフステージの中で最も栄養が​必要な時期と考えられており、成長期よりも高い栄養要求​を満たさなければなりません。

授乳中の犬のエネルギー必要量 

1週目から2週目:メンテナンスのための大人の条件×2。3週目から4週目:メンテナンスのための大人の条件×3。5週目から6週目:メンテナンスのための大人の条件x2。
  • 授乳中の犬は、産乳量​に対応し、母犬自身の体型を維持するために、消化しやすく、エネルギー量の高い栄養豊富な食事​(子犬用の総合栄養食など​)が必要です。
    • 産乳のピークは、出産後 3~4 週間です。
    • エネルギー必要量は徐々に増えていき、交配前の維持エネルギー​の 2~4 倍にまで達します。
    • 出産後 3~4 週間は、1 日に複数回​に分けて給与​するか、母犬が自由に食べられる自由採食の方式​にすると、授乳期のエネルギー要求量を満たすのに役立ちます。
    • 子犬​が固形食を食べるようになると、産乳量​は減り始めます。

  • 離乳の 1~2 日前に母犬への給与量​を制限すると、産乳量を減らすために​に役立つことがあります。
  • 離乳前日に、母犬と子犬を分離します。産乳量をゆっくりと減らすために、母犬には新鮮な水のみを引き続き与え、一切の食事を​停止します。
    • 子犬が自力で​が食べ始めたら、その晩から母犬と子犬をもう一度一緒にします。母犬の産乳量​をさらに減らすために食事を一晩断ち​、朝になったら子犬​に固形食を食べるように促します。
  • 離乳当日は、母犬と子犬を 1 日中分離させておきます。​
    • 離乳当日には、交配前に与えていたフードと同じ種類のも​の約 25% 量を母犬に給与​します。
    • その後 3 日間かけて、母犬への給与量​が交配前の維持エネルギー​の 100% に達するまで、徐々に与える量​を増やしていきます。

子犬​

  • 生後およそ 3~4 週間は、母乳​のみで子犬​の正常な成長を十分支えることができます。
  • 生後およそ 3 週間で、子犬​は半固形食(ドライフードとぬるま湯を1:2の割合で混ぜたかゆ状の食事​)を開始できます。これには、母犬に与えているものと同じ種類のフード​を使用します。
    • 子犬​に半固形食を早期に与えることで、母犬への栄養的な負担を減らし、子犬​の離乳によるストレスを軽減します。
    • 生後 5~6 週間が経過したら、フードと水の比率を 2:1 にしてください。​

  • 子犬​が生後 5~6 週間になると、自然に離乳が始まります。
    • 母犬からの母乳​乳だけでは、子犬​が急速に成長にするために必要なエネルギー量と栄養素を十分に供給できなくなります。
  • 生後 5 週間までに、子犬​には半固形食を与える必要があります。
  • 生後 6~8 週間で子犬​の離乳準備が整うまで、半固形食の量を相対的に​徐々に増やしていきます。
  • この期間中は子犬​に同じ種類のフードを与え続け​消化不良を起こさないようにします。
  • 離乳が完了したら、子犬​の身体のサイズに合わせて適切なフード​に切り替えます。
カンバセーション・スターター
会話のきっかけ

「栄養は、妊娠中に母犬とおなかにいる子犬​の健康を維持するために重要な役割を担っています。また、栄養は、授乳期の[犬の名前]ちゃんと育ち盛りの子犬​たちを支えるためにも欠かせないものです。妊娠・授乳期には栄養の要求量が増加します。そのため、[犬の名前]ちゃんのフード​を、子犬​用や授乳期の母犬用に調製された高品質な総合栄養食​に切り替える必要があるんですね。」

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補足情報​

Case, L. P., Daristotle, L., Hayek, M. G., & Raasch, M. F. (2011). Canine and feline nutrition: A resource for companion animal professionals (3rd ed.). Mosby Elsevier. 

Debraekeleer, J., Gross, K. L., & Zicker, S. C. (2010). Feeding reproducing dogs. In M. S. Hand, C. D. Thatcher, R. L. Remillard, P. Roudebush, & B. J. Novotny (Eds.), Small animal clinical nutrition (5th ed., pp. 281─294). Mark Morris Institute.