演習シナリオ

室内飼いの短毛種の猫

ジェネラルの紹介

13 歳、去勢手術済みのオス、室内飼い、短毛種

  • ジェネラルは去勢済みのオスであり、ボディコンディションスコアは 5/9、筋肉量も正常です。
  • 飼い主の報告によると、ジェネラルはおおむね健康ですが、以前ほど活動的でなくなったようです。また、飼い主は、ジェネラルの睡眠時間が長くなったと感じています。
  • ジェネラルは室内外を行き来しており、猫用のドライフードを食べることがほとんどですが、ときどき缶詰フードをおやつとして食べています。屋外に出たときに獲物を捕らえて食べているかどうかはわかりません。

シニア猫

シニア猫の食餌

猫は、およそ 7 歳で「シニア」の仲間入りをします。しかし、犬に比べて平均余命が長いため、シニア猫のライフステージは、7~12 歳の「成熟期」と 12 歳以上の「老年期」の 2 つのカテゴリに分けることができます。この 2 つのカテゴリは、活動レベル、代謝、脂肪やタンパク質などの主要栄養素の消化能力において、一般的に起こる可能性のあるいくつかの変化によって定義されています。これらの要素は、体重、除脂肪体重、免疫系、消化器系、皮膚に影響を与えます。シニア期全般にわたって猫の固有のニーズに合わせた栄養を与えることで、猫が長く健康に過ごせるようになる可能性があります。

シニアの長毛種の猫

キーメッセージ


  • 7 歳以上のすべての猫は「シニア」と見なされますが、12 歳以上の猫と 7~12 歳の猫とでは次のように大きく異なります。 
    • 成熟期の猫、特に 10 歳くらいの猫には太り過ぎが多く見られます。その理由の 1 つは、エネルギー(カロリー)必要量の減少による可能性があります。 
    • 12 歳を過ぎると、猫は脂質やタンパク質の消化能力低下や他の代謝変化により、体重が減少する場合があります。 
    • 高齢猫の除脂肪体重(筋肉など)はゆっくりと減少します。年齢とともに体重と除脂肪体重が減るため、12 歳以上の猫では、肥満よりも、やせ型体型(「高齢猫のるいそう症候群」と呼ばれることもある)がはるかに多く見られるようになります。 
  • 猫のシニア期向けの栄養素プロファイルは確立されていません。ただし、いくつかの栄養介入が有益であることが明らかになっています。 
    • 7~12 歳の猫:脂質とカロリーを抑え、繊維とタンパク質を増やすことにより、体重増加を最小限に抑えます。 
    • 12 歳以上の猫:タンパク質と脂質を多く含む消化のよい食餌を与えることで、除脂肪体重と理想的な体型の維持に役立ちます。タンパク質、必須脂肪酸、プレバイオティクス、抗酸化物質(ビタミン C やビタミン E など)を豊富に含む食餌は、老化した免疫系と全身の健康を支えます。 
  • 高齢猫が長く健康で過ごすには、理想的な体型を保ち(やせ過ぎや太り過ぎの防止)、除脂肪体重を維持するように給餌することが重要です。 
    • Purina による 9 年にわたる画期的な研究では、抗酸化物質、必須脂肪酸、プレバイオティクスを含む独自の栄養素ブレンドにより、猫の健康寿命が向上し、平均 1 年延びたことが明らかになりました。この研究により、シニア猫の長寿命化には、肥満ではない猫の体重と除脂肪体重を維持することが有効であることが示されました。 
      • また、この研究では、この独自の栄養素ブレンドを与えられた猫では、血清ビタミン E 濃度が高くなることもわかっています。高ビタミン E 濃度は生存率と正の相関がありました。ビタミン E は、高齢化に伴って増加する酸化ストレスを軽減させる可能性のある重要な抗酸化物質です。 
会話の手始めの背景画像

7~12 歳の猫
「個々の猫によって異なりますが、一般的に 7~12 歳の猫は過体重になる傾向があります。私たちの目標は、猫を理想的な体型に維持することです。ご自宅で[猫の名前]ちゃんの体型をチェックしてください。胴のくびれと腹のたるみをチェックして、肋骨に触れるだけなので簡単にできます。このステージの猫ちゃんの理想体型を維持するには、カロリーと脂質を抑え、食物繊維とタンパク質を豊富に含む食餌が適しています。

12 歳以上の猫
個々の猫によって異なりますが、12 歳以上の猫はやせ過ぎになる傾向があります。私たちの目標は、猫を理想的な体型に維持することです。ご自宅で[猫の名前]ちゃんの体型をチェックしてください。胴のくびれと腹のたるみをチェックして、肋骨に触れるだけなので簡単にできます。体重の減少に気づき始めたら、高カロリー密度で高タンパク質の消化のよいフードへの切り替えが推奨される場合があります。」

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その他のリソース

Perez-Camargo, G. (2004).Cat nutrition: What is new in the old? Compendium on Continuing Education for the Practicing Veterinarian, 26(2A), 5–10.

Cupp, C. J., & Kerr, W. W. (2010, March 26–27). Effect of diet and body composition on life span in aging cats. Proceedings of the Companion Animal Nutrition Summit: Focus on gerontology.Clearwater Beach, FL, United States, 40–46.

Cupp, C. J., Kerr, W. W., Jean-Philippe, C., Patil, A. R., & Perez-Camargo, G. (2008). The role of nutritional interventions in the longevity and maintenance of long-term health in aging cats. International Journal of Applied Research in Veterinary Medicine, 6(2), 69–81.

Laflamme, D., & Gunn-Moore, D. (2014). Nutrition of aging cats. Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice, 44(4), 761–774. doi: 10.1016/j.cvsm.2014.03.001

Teng, K. T., McGreevy, P. D., Toribio, J.-A. L. M. L., Raubenheimer, D., Kendall, K., & Dhand, N. K. (2018). Strong associations of nine-point body condition scoring with survival and lifespan in cats. Journal of Feline Medicine and Surgery, 20(12), 1110–1118. doi: 10.1177/1098612X17752198 ​