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治療のための栄養学​

栄養の影響を受けやすい健康状態の犬・猫のニーズに関する有用な情報。

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腎臓と泌尿器の疾患

犬のストルバイト(改行)​ 結石症について​

ストルバイト結石症​は、猫と同様に、犬の2大尿石症の1つと言われています。ほとんどが非感染症である猫の場合とは異なり、犬のストルバイト結石​症は Staphylococcus pseudointermediusProteus mirabilis などのウレアーゼ産生菌による尿路感染症 であることが一般的です。これらの細菌​は尿素を分解し、アンモニアを産生することで、最終的に尿のpHの上昇をもたらし、​ストルバイト結石​の生成を促します。適切な抗生物質の使用が​、ストルバイト結石​の溶解に役立ちます。​ストルバイト結晶尿の所見は、特に採尿後の尿検査が遅れた場合に生じることがあるので、臨床症状やレントゲン写真上の所見の​の有無に照らして検討する必要があります。

キーメッセージ


  • 犬のストルバイト結石症​の多くはウレアーゼ産生菌による尿路感染症と関連しているため、細菌感受性検査の結果​に基づき選択された抗生物質による治療が重要です。再発を予防するには、感染管理をきちんと行う必要があります。​尿路結石の排出を促進するために、尿路結石用の療法食​が使用されることがあります。一旦尿路結石が完全に溶解すると、通常、療法食​は長期継続されません。 
  • 尿路結石用療法食​によるストルバイト結石症の管理は、次のような働きをします。  
    • 尿を酸性にして、ストルバイト結石​の溶解を促す
    • ストルバイト結石​を形成するマグネシウムとリンの量を制限する
  • 食事に水を加えると​、総水分摂取量と尿量が増え、尿が希釈されます。薄い尿では、​尿石前駆体の濃度が低くなります。尿量が増えると排尿回数も増え、尿石ができる前に前駆物質を排出することができます。 
    • 尿路結石症の管理には、尿を希釈させ、​排泄を促すことが推奨されます。 
  • 療法食を用いて希釈尿にさせる​目的は、尿石形成のリスク​の指標である RSS(相対的過飽和度)で算出したストルバイト結石の前駆体​の飽和度が低い尿を産生することです。これにより、尿石が形成されるリスク​を低下させ、出来てしまった​ストルバイト結石​の溶解を促します。 
  • まれにみられる​犬の無菌性のストルバイト結石​症の場合、再発予防のために今ある​尿石を溶解した後、尿路疾患用の療法食​を長期的に与えることがあります。 
カンバセーション・スターター
会話のきっかけ

「あなたの犬は尿路感染症によるストルバイト尿石症です[最も一般的な例として、ストルバイト尿石がウレアーゼ産生菌による感染症に関連し、尿培養で確認されたと想定します].抗生物質を与えて感染を除去する一方で、治療食を与えて水分摂取量の増加を促すことで、より速やかな尿石の溶解を促します」

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犬の尿路感染症

尿路感染症は食事の影響を直接受けるものではありませんが、栄養に関連する他の疾患と関連しています。

1 ~ 5 分

犬のシュウ酸カルシウム尿路結石症

犬のシュウ酸カルシウム尿路結石の再発リスク低減には、栄養が重要な役割を果たします。

1 ~ 5 分

補足情報​

Palma, D., Langston, C., Gisselman, K., & McCue, J. (2013). Canine struvite urolithiasis. Compendium: Continuing Education for Veterinarians, 35(8), E1.

Lulich, J. P., Berent, A. C., Adams, L. G., Westropp, J. L., Bartges, J. W., & Osborne, C. A. (2016). ACVIM small animal consensus recommendations on the treatment and prevention of uroliths in dogs and cats. Journal of Veterinary Internal Medicine, 30(5), 1564–1574. doi: 10.1111/jvim.14559

Weese, J. S., Blondeau, J., Boothe, D., Guardabassi, L. G., Gumley, N., Papich, M., Jessen, L. R., Lappin, M., Rankin, S., Westropp, J. L., & Sykes, J. (2019). International Society for Companion Animal Infectious Diseases (ISCAID) guidelines for the diagnosis and management of bacterial urinary tract infections in dogs and cats. The Veterinary Journal, 247, 8–25. doi: 10.1016/j.tvjl.2019.02.008