慢性下痢の犬に対する診断的考察：なぜ食事が重要か

回答： 慢性腸炎は多因子性です。免疫系、遺伝、食事、そして動物の腸内細菌叢が関係しています。腸内細菌叢に異常が生じた場合や免疫系が微生物を認識した場合、適応免疫系が反応を開始します。

DRCE の犬には、食事成分によって悪化する悪性度の低い炎症がある可能性があります。最初の炎症は食物に起因するものではない場合がありますが、患者に耐性がない成分が食物に含まれていると、急速に悪化します。

回答： 慢性下痢症の犬の約 50 %～60 % は、食事が要因であることが研究により明らかになっています。^1,2 下痢が 3 週間以上続いている場合、慢性的な下痢とみなされます。場合によっては、下痢が断続的に続くこともあります。DRCE　の患者は一般的に若い犬で、体重減少もなく、食欲不振もなく、スタミナもあり、外見も健康です。

原因として、まず腸内寄生虫を排除する必要があります。その後、加水分解食または新規タンパク質食による除去食試験を開始する必要があります。DRCE の犬は、食物アレルギーの犬よりも皮膚症状の反応が早く、通常 10 日から 14 日以内に反応します。市販の除去食は、新規タンパク質や加水分解タンパク質を含むとともに、オメガ 3 脂肪酸とオメガ 6 脂肪酸の比率が最適であり、消化吸収に優れた生物学的利用能の高い原材料で構成されています。

回答：異なる食事が効果的な場合もありますし、ペットの好みも考慮します。ただし、次のような注意点があります。

• 新規タンパク質食。獣医師が新規タンパク質の食事を勧める場合、患者の食歴を十分に調査し、これまでどのようなタンパク源を与えていたかを確認する必要があります。この情報がない場合、選択されたタンパク質が実は新規のものではない可能性があります。
• 自家製の食事。オーナーが自分で食事を調理したいという場合は、その希望を尊重しますが、栄養バランスを考えて、動物栄養士と一緒に食事を作ることをお勧めします。ほとんどの犬は数ヵ月間除去食を続けるため、療養食が栄養に不足するとメリットよりもデメリットが大きくなります。
• 加水分解食。真の食物アレルギーが疑われる場合、一般的な動物性タンパク質から得られる加水分解食が、タンパク質にアレルギーがある動物にアレルギー反応を引き起こす可能性があるかどうか、専門家の中には疑問視する人もいます。私の経験では、市販の加水分解食は DRCE のほとんどの犬でうまく使えると思います。

獣医師からよく聞かれるのが、「DRCE の徴候があるのに、除去食に反応しない場合はどうしたらいいのか」という質問です。さらなる検査に移る前に、まず 2 回目の除去食試験を行うことを提案しています。例えば、最初の食事が新規タンパク質の食事であった場合、加水分解食に切り替えると成功することがあります。