Prevent clicks on page when mobile menu is being shown
治療のための栄養
栄養の影響を受けやすい健康状態の犬・猫のニーズに関する有用な情報。
体調の異常
原因不明の体重減少
体重減少は、カロリー摂取量がエネルギー必要量を満たしていないときに発生します。体重減少は、慢性心不全、腎疾患、内分泌疾患、消化管疾患、肝臓疾患、新生物など、多くの疾患に続発するおそれがあります。ただし、病歴、検査、診断のすべてで医学的原因が除外される場合、体重減少は代謝エネルギー必要量の増加またはエネルギー消費量の減少によって起きている可能性があります。背後にある問題を認識し、栄養の目標を定めることは、ペットが健康な体重と体型を取り戻し、最適な健康と長寿命化を推進するうえで役立ちます。
キーメッセージ
- 定期的な栄養状態の評価（体重、ボディコンディションスコア、マッスルコンディションスコアの測定を含む）は、意図しない体重減少の早期発見に役立ちます。
- 検査と診断を実施しても体重減少の原因が解明されない場合は、次のことを検討します。
- ペットの食餌歴を再確認します。飼い主が低カロリー（軽め）の食餌（つまり、同量を給餌しているとカロリー摂取量が減少する食餌）に切り替えていますか？またはペットのライフステージに対して十分な栄養が含まれていない食餌に切り替えていますか？
- ペットが現在与えられている食餌は、現在のカロリー必要量を満たすのに十分ですか？
- 高齢猫は、12 歳前後の高齢期に入ると体重が減少する場合があります。体重減少の原因は、脂肪やタンパク質の消化能力の低下といった代謝変化かもしれません。
- カロリー必要量は、活動、ライフスタイル、環境の変化によって影響を受ける可能性があります。また、エネルギー必要量は 1 年を通して一定ではない可能性があることも考慮します（例えば、犬の中には夏季に活動が活発になるものもいます）。
- ペットの食欲は低下していますか？
- 高齢ペットの場合、年齢とともに嗅覚や味覚が衰えることで食欲が低下することがあります。
- ストレス、多頭飼い家庭での食餌を巡る争いなど、行動面での原因がないかを考えます（例えば、ペットが給餌器に近づこうとすると、もう 1 頭がそれを邪魔しているなど）。
- ペットの餌の好き嫌いは激しくなっていますか？
- 食餌と給餌の管理戦略により、ペットが健康的な体重と体型を取り戻すことができる可能性があります。
- ペットの 1 日のカロリー必要量を推定します。飼い主に、キッチンスケール（グラム単位）や計量カップを使用してフードを計量するように指導します。
- エネルギー密度と栄養密度に優れ、しかも嗜好性の高いフード（成長期用や活動量の多いペット向けの食餌、集中治療用の療法食、または犬の場合はキャットフード）を推奨し、食餌のカロリー量を増やします。この方法は、ペットの除脂肪体重を維持または再構築しながら、体重を増やすのに役立ちます。
- 給餌回数を増やすと、ペットの食べる機会が増えるため、常に新鮮なフードを与えることができます。
- 食欲が低下したペットについては、次のように対応します。
- フードを温めると匂いと味がよくなり、食欲が刺激される場合があります。
- 通常ドライフードを与えている場合は、ドライフードを水でふやかしたり、ウェットフードを追加したり、ドライフードからウェットフードに切り替えたりすることにより、食欲が出てくることもあります。食いつきをよくするトッピングが有効な場合もあります。
- 多頭飼い家庭で食餌を巡る争いが起きないようにするには、ペットの給餌を分ける必要があります。
- ペットには、騒音やストレスのない環境で給餌する必要があります。
- 飼い主がペットに食べるよう穏やかに促してみるのもよいでしょう（ただし、その行為がペットにとってストレスにならない場合のみ）。
- 特に猫の場合、猫に給餌器の好みが出てきているかどうかを確かめるために、種類の異なる給餌器を使用してみます。猫の中には、ひげが給餌器の側面に触れないように、幅広く浅い給餌器を好むものもいます。
- ペットが理想的な体型と体重に達するようにモニタリングします。ペットの体型や体重が目標値になったら、維持のために必要なエネルギー量を計算します。
- 除脂肪体重を維持するために活動を促します。
「私たちの目標は、ペットが理想的な体型になるよう支援することです。これにより、ペットが健康で長生きできるようになるかもしれません。おいしくてエネルギー密度の高いフードを与えて、カロリーを増やしていきましょう。ペットの体重が増えていることを確認するので、私たちは診察のたびにペットの体型をチェックしますが、飼い主さんも自宅で定期的にチェックすることができますよ。やり方は簡単です。胴のくびれ、腹のたるみ、肋骨の感触をチェックするだけです」