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治療用栄養

栄養の影響を受けやすい健康状態の犬・猫のニーズに関する有用な情報。

イヌの飼い主がペット��とともにクリニックで獣医師の診療を受けています。

消化器系疾患

あなたのペットはなぜ下痢に抗生物質を処方されないのでしょうか

下痢はあなたにとって面倒で苛立たしく、あなたのペットにとって不快となる可能性があり、あなたがその問題をできるだけ早く解消したいと思うのは理解できます。必要に応じて適切に使用すれば、抗生物質は救命薬となり得ます。しかし、科学的研究によると、大部分の急性下痢に対する抗生物質の使用はメリットよりもデメリットが上回ることが示されています。

抗生物質は下痢の経過を短縮するものではありません。抗生物質は下痢を回復させるという誤った信用がよくみられますが、大部分の急性下痢の症例が、抗生物質なしでほぼ同期間で回復に成功していることが示されています。

抗生物質は腸内細菌叢の長期にわたる破壊を引き起こします。腸内菌共生バランス失調は、腸内マイクロバイオーム内の不均衡で、腸内マイクロバイオームとは腸内で共生する細菌およびその他の微生物の共同体です。腸内菌共生バランス失調は全身の健康に影響を及ぼし、抗生物質に起因する不均衡は、抗生物質を中止した後も数週間、数ヵ月間、または数年間にわたり継続することがあります。

抗生物質投与後、下痢が再発することはよくあります。短期間に抗生物質が下痢を回復させるように見えた場合でさえ、再発はよくみられ、抗生物質の投与と下痢の再発の繰り返されるサイクルに至る可能性があります。

下痢に対する不必要な抗生物質の使用は、すべての人の健康にリスクを与える可能性があります。抗生物質の使用によって耐性の発生につながる可能性があり、それによって抗生物質の有効性が低下します。細菌の耐性菌はペットと飼い主の間で共有される可能性があり、管理がより難しい耐性感染症のリスクが増えます。抗生物質に対する耐性は、世界規模の公衆衛生の重大な懸念であり、抗生物質は絶対に必要な時に使用するという制限を設けることが重要です。

あなたがペットの下痢に抗生物質を要求しないことで、獣医師がペットの健康および公衆衛生を守る手助けができます。

抗生物質を投与する代わりに、どのように下痢を管理することができるでしょうか?あなたのペットの食餌を修正することが、あなたのペットの下痢を管理する最初の手順です。獣医師は胃腸の健康のために処方された治療食を勧める場合があり、これには補足的な食物繊維および/またはプレバイオティクスが含まれている可能性があります。獣医用プレバイオティクスを勧める場合もあります。

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第 2 号:消化器系の疾患管理を成功させるためのヒント

急性胃腸炎、慢性腸疾患、猫の膵炎の管理に関するさまざまな食事療法の選択肢をご確認ください

日本語の翻訳版のない英語の記事へのリンクです。

16 ~ 20 分

犬の急性胃腸炎 / 胃腸症

短期間の食事の変更は急性胃腸病の治療計画の重要な部分です。

1 ~ 5 分

犬の食事反応性腸症(下痢)

食事療法は、食物反応性腸症の犬を管理するための主要な栄養戦略です。

1 ~ 5 分

猫の急性胃腸症

短期間の食事の変更は、猫の急性胃腸症の管理の重要な部分になります。

1 ~ 5 分

猫の食事反応性腸症

食事は、食物反応性腸症の猫の診断と管理において重要な役割を果たします。

1 ~ 5 分

犬と猫の腸内細菌叢異常

食事の変更は、腸内細菌叢異常の犬や猫を管理するための治療計画の重要な要素です。

1 ~ 5 分

参考文献

Jessen, L. R., Werner, M., Singleton, D., Prior, C., Foroutan, F., Ferran, A. A., Arenas, C., Bjørnvad, C. R., Lavy, E., Allerton, F., Allensbach, K., Guardabassi, L., Unterer, S., Bodnárová, T., Windahl, U., Brennan, M. L., Weese, J. S., Scahill, K., ESCmid Study Group for Veterinary Microbiology (ESGVM), & European Network for Optimization of Antimicrobial Therapy (ENOVAT). (2024). European Network for Optimization of Veterinary Antimicrobial Therapy (ENOVAT) guidelines for antimicrobial use in acute canine diarrhoea. The Veterinary Journal, 307, 106208. doi: 10.1016/j.tvjl.2024.106208

Scahill, K., Jessen, L. R., Prior, C., Singleton, D., Foroutan, F., Ferran, A. A., Arenas, C., Bjørnvad, C. R., Lavy, E., Allerton, F., Weese, J. S., Allenspach, K., Guardabassi, L., Unterer, S., Bodnárová, T., Windahl, U., Brennan, M. L., & Werner, M. (2024). Efficacy of antimicrobial and nutraceutical treatment for canine acute diarrhoea: A systematic review and meta-analysis for European Network for Optimization of Antimicrobial Therapy (ENOVAT) guidelines. The Veterinary Journal, 303, 106054. doi: 10.1016/j.tvjl.2023.106054

Rudinsky, A. J., Parker, V. J., Winston, J., Cooper, E., Mathie, T., Howard, J. P., Bremer, C. A., Yaxley, P., Marsh, A., Laxalde, J. Suchodolski, J. & Perea, S. (2022). Randomized controlled trial demonstrates nutritional management is superior to metronidazole for treatment of acute colitis in dogs. Journal of the American Veterinary Medical Association, 260(S3), S23-S32. doi: 10.2460/javma.22.08.0349