

筋骨格障害
発育性整形外科疾患
股関節や肘関節の形成不全、肩関節の骨軟骨症や離断性骨軟骨炎、肥大性骨異栄養症などの発育性整形外科疾患は、若齢の犬、特に大型犬や超大型犬で跛行の原因としてよく知られています。しかし、重症度によっては成犬になるまで症状が現れない場合もあります。原因は多くあり、症状によっては、遺伝的要因、過度の運動(「微小外傷」の原因)、性別などが関与している可能性があります。1-3 食事は、発育性整形外科疾患の状態や二次性の変形性関節症の管理に関わる可能性があります。


キーメッセージ
- 成長期の子犬は、成犬に比べて多くの栄養を必要とします。ただし、栄養素の過剰摂取、特にカロリーとカルシウムの過剰摂取は避けるべきです。
- 子犬、特に急成長しやすい大型犬や超大型犬は、過剰なカロリーの食事を与えると急速に成長します。カロリー過多は過体重を招き、急速な成長速度は骨密度の減少を招く可能性があります。発達中の骨格に余分なストレスがかかり、骨格の奇形や軟骨の異常な成長を引き起こす可能性があります。
- 子犬は、急速ではなく安定した成長速度と、やせ型の体型を維持できるような食事を与える必要があります。
- 成犬の大きさは遺伝で決まります。そのため、成長スピードを制限し、より遅くしても、最終的な成長後の大きさには影響がありません。
- 骨格が完全に成熟するまで、つまり成犬のライフステージに到達するまでは、すべての子犬に総合栄養食と表示された成長期用のフードまたは「全ライフステージ対応」と表示されたフードを与えます。大型犬種や超大型犬種の子犬は、生後 18~24 ヵ月まで骨格が完全に成熟しない場合があります。
- 過食のリスクを減らすために、大型犬や超大型犬種の子犬には、大型犬・超大型犬用と表示されたエネルギー密度の低い成長期用のフードを与える必要があります。
- 子犬、特に急成長しやすい大型犬や超大型犬は、過剰なカロリーの食事を与えると急速に成長します。カロリー過多は過体重を招き、急速な成長速度は骨密度の減少を招く可能性があります。発達中の骨格に余分なストレスがかかり、骨格の奇形や軟骨の異常な成長を引き起こす可能性があります。
- カルシウムの過剰摂取(特にリンが少ないとカルシウムのリンに対する比率が高くなる)は、骨格の奇形を引き起こすことがあります。
- 総合栄養食と表示された成長期用のフードや、全ライフステージ対応と表示されたフードが与えられている場合、カルシウムの補充は不要であり、有害になることもあります。
- カルシウムはバランスよく摂取することが重要です。カルシウムの摂取量が少なすぎると、くる病や疲労骨折の原因になることがあります。
- 関節の発育性整形外科疾患は、変形性関節症に移行することが多くあります。栄養管理を含めた、多方面からの管理アプローチが関節の損傷の進行を遅らせるだけでなく、運動能力の向上にも役立ちます。


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参考文献
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- Raditic, D. M., & Bartges, J. W. (2014). The role of chondroprotectants, nutraceuticals, and nutrition in rehabilitation. In D. L. Millis & D. Levine (Eds.), Canine rehabilitation and physical therapy (2nd ed., pp. 254–276). Saunders. doi:10.1016/B978-1-4377-0309-2.00015-6
- Demko, J., & McLaughlin, R. (2005). Developmental orthopedic disease. Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice, 35(5), 1111–1135. doi: 10.1016/j.cvsm.2005.05.002
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