体重管理

体重管理

タンパク質

食餌中のタンパク質は、減量の成功と継続において重要な役割を果たすことができます。

除脂肪体重は脂肪組織よりも多くのカロリーを消費するため、減量中に除脂肪体重を維持することは、体重の再増加を防ぐために役立つ可能性があります。1-5 過体重のペットにおいて食餌中のタンパク質レベルを増やすと、脂肪での体重減少が有意に多く、除脂肪体重としての体重減少が少ないことが研究により示されました。1-4,6

タンパク質

Purina の研究

猫および犬

過体重の犬と猫を対象とした Purina の研究により、減量中に高タンパク質の食餌を与えることで、除脂肪体重を維持できることが示されました。1.2

ある研究において、過体重の犬に 20%、30%、または 39% のタンパク質(代謝エネルギーベース)を含む低カロリーの食餌を与えました。それぞれの犬が 理想的なボディコンディションスコア(9 ポイント方式の Purina BCS システムでスコアが 5 点)に達するまで、1 週間に 1% の体重減少を達成するように給餌しました。1

30% または 39% のタンパク質を含む食餌を与えた過体重の犬は、20% のタンパク質を含む食餌を与えた犬に比べて、除脂肪体重が約半分に減少し、脂肪量がより多く減少しました。1

犬においてタンパク質は LBM 減少を緩和し、脂肪の減少を促進します。この表は、減少率(体脂肪と除脂肪体重)と食餌中のタンパク質の % を示しています。食餌中 20% のタンパク質では、3350 g の体脂肪と 1700 g の LBM の減少がみられました。食餌中 30% のタンパク質では、3420 g の体脂肪と 900 g の LBM の減少がみられました。食餌中 39% のタンパク質では、3800 g の体脂肪と 700 g の LBM の減少がみられました。
35% のタンパク質を与えた肥満猫では、79% の脂肪と 20% の除脂肪組織で構成される体重減少がありました。45% のタンパク質を与えた猫では、88% の脂肪減少があり、除脂肪組織の減少は 11% のみでした。

別の研究では、肥満猫に対して、1 週間に 1% の体重減少を達成するようにエネルギーの制限を行いました。猫には、 タンパク質量(代謝エネルギーの 35% または 45%)が異なるドライフードを与えました。2

猫の総体重は同じ程度の減少がありました。しかし、35% のタンパク質を含む食餌を与えた猫と比べ、45% のタンパク質を含む食餌を与えた猫は、 脂肪での体重減少が有意に多く、除脂肪体重としての体重減少が少ないことが示されました。2

肥満猫を対象とした 2 つ目の研究でも、高タンパク質の食餌を与えた猫は、低タンパク質の食餌を与えた猫よりも脂肪量が減少していることが明らかになりました。6

高タンパク質の食餌のその他のメリットには、以下のことが考えられます。

  • レプチン抵抗性が軽減されることにより、過体重や肥満の犬の満腹感が増大。7
  • 酸化ストレスの低減。肥満が酸化ストレスを増大させるため、これは非常に重要です。8
  • 減量後に生じるエネルギー消費量減少の緩和。これは、 炭水化物や脂肪に比べてタンパク質の熱発生効果が高いためであると考えられます。4,9,10

Purina の研究では、食餌中のタンパク質量が健康体重に寄与するだけでなく、食餌中のタンパク質と炭水化物の比率が腸内微生物叢に影響を及ぼし、犬猫の両方において代謝に影響する可能性があることが示されています。11-13

Purina の研究

ビルマ猫

高タンパク質低炭水化物(HPLC)の食餌を与えた場合、痩せた動物よりも過体重の動物の腸内微生物叢の構成に、より有意な影響を及ぼしました。11-13

例えば、HPLC 食餌を与えた過体重の猫(体脂肪率が 25% 超)において、短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する腸内細菌数に有意な変化が示されました。13

これらの細菌の 1 つである メガスファエラは、余分な炭水化物を発酵させて SCFA にすることで、エネルギー 吸収を高める可能性があります。 ​

この研究では、HPLC 食餌を与えた過体重の猫において メガスファエラが減少する変化が確認され、これは減量に寄与する可能性を示しています。13

過体重の猫に HPLC 食餌を与えた場合の腸内細菌の変化。

細菌 減少 増加
フソバクテリウム門が 8 倍超増加
ベイヨネラ科ビフィドバクテリウム科ポルフィロモナス科、およびリケネラ科 フソバクテリア科クロストリジウム科ラクノスピラ科ルミノコッカス科モギバクテリア科、およびペプトコッカス科
メガスファエラ属ベイヨネラ属、およびビフィドバクテリウム属 フィーカリバクテリウム属、およびフソバクテリウム属
ユウバクテリウム・シリンドロイデスラクトバチルス・ルミニス、およびバクテロイデス・プレビウス フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイルミノコッカス・グナバスクロストリジウム・ヒラノニス、およびユウバクテリウム・ドリクム

覚えておくべき重要な点

  • 過体重の犬猫において、食餌中のタンパク質とカロリーの比率を高めることにより、 脂肪としての体重減少を有意に増やし、除脂肪体重としての体重減少を少なくすることができます。
  • また、高タンパク質食餌は酸化ストレスを軽減し、 満腹感を高める可能性があることが示されました。
  • 腸内細菌に影響を与えることにより、食餌中のタンパク質とカロリーの比率を高めることが、 犬猫の両方において代謝に良い影響を与える可能性があります。

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詳しく知る

  1. Hannah, S. S., & Laflamme, D. P. (1998). Increased dietary protein spares lean body mass during weight loss in dogs. Journal of Veterinary Internal Medicine, 12, 224.
  2. Laflamme, D. P., & Hannah, S. S. (2005).Increased dietary protein promotes fat loss and reduces loss of lean body mass during weight loss in cats. International Journal of Applied Research in Veterinary Medicine, 3(2), 62–68.
  3. des Courtis, X., Wei, A., Kass, P. H., Fascetti, A. J., Graham, J. L., Havel, P. J., & Ramsey, J. J. (2015). Influence of dietary protein level on body composition and energy expenditure in calorically restricted overweight cats. Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition, 99(3), 474–482.
  4. Vasconcellos, R. S., Borges, N. C., Gonçalves, K. N., Canola, J. C., de Paula, F. J., Malheiros, E. B., Brunetto, M. A., & Carciofi, A. C. (2009). Protein intake during weight loss influences the energy required for weight loss and maintenance in cats. The Journal of Nutrition, 139(5), 855–860.
  5. German, A. J., Holden, S. L., Mather, N. J., Morris, P. J., & Biourge, V. (2011). Low-maintenance energy requirements of obese dogs after weight loss. British Journal of Nutrition, 106, S93–S96. doi: 10.1017/S0007114511000584
  6. Hoenig, M., Thomaseth, K., Waldron, M., & Ferguson, D. C. (2007).Insulin sensitivity, fat distribution, and adipocytokine response to different diets in lean and obese cats before and after weight loss. American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative, and Comparative Physiology, 292, R227–R234.
  7. Blees, N. R., Wolfswinkel, J., Kooistra, H. S., & Corbee, R. J. (2020). Influence of macronutrient composition of commercial diets on circulating leptin and adiponectin concentrations in overweight dogs. Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition, 104(2), 698–706.
  8. Tanner, A. E., Martin, J., Thatcher, C. D., & Saker, K. E. (2006).Nutritional amelioration of oxidative stress induced by obesity and acute weight loss. Compendium on Continuing Education for the Practicing Veterinarian, 28(Suppl 4), 72.
  9. Halton, T. L., & Hu, F. B. (2004). The effects of high protein diets on thermogenesis, satiety and weight loss: A critical review. Journal of the American College of Nutrition, 23(5), 373–385.
  10. Astrup, A., Raben, A., & Geiker, N. (2015). The role of higher protein diets in weight control and obesity-related comorbidities. International Journal of Obesity, 39, 721–726.
  11. Li, Q., Lauber, C. L., Czarnecki-Maulden, G., Pan, Y., & Hannah, S. S. (2017). Effects of the dietary protein and carbohydrate ratio on gut microbiomes in dogs of different body conditions. MBio 8, e1703–e1716.
  12. Coelho, L. P., Kultima, J. R., Costea, P. I., Fournier, C., Pan, Y., Czarnecki-Maulden, G., Hayward, M. R., Forslund, S. K., Schmidt, T. S. B., Descombes, P., Jackson, J. R., Li, Q., & Bork, P. (2018). Similarity of the dog and human gut microbiomes in gene content and response to diet. Microbiome, 6, 72. doi: 10.1186/s40168-018-0450-3
  13. Li, Q., & Pan, Y. (2020). Differential responses to dietary protein and carbohydrate ratio on gut microbiome in obese vs. lean cats. Frontiers in Microbiology, 11, 591462. doi: 10.3389/fmicb.2020.591462