茶色の成犬のチワワ

演習シナリオ

ベニーの診察

5 歳、去勢手術済みのオスのチワワ

  • ベニーは、定期健診とワクチン接種のために受診しています。
  • ベニーは、高品質のドライドックフード約 ½ カップを 2 回に分けて食べています。また、毎日少量のおやつも与えられています。ベニーに人間の食べ残しは与えていませんが、ときどき好物のスイカを 1 口大にして与えています。
  • ベニーの体重は 4.1 kg、ボディコンディションスコアは 9 段階の 5、筋肉量も正常です。
  • 検査時に、ベニーは快活で敏捷であり、反応も良好です。咳や喘鳴もなく、肺音も正常です。聴診では、左心尖にグレード III/VI の収縮期雑音が聞こえました。心拍数と心拍リズ

青緑色の心臓のアイコン

心血管疾患

僧帽弁粘液腫様変性(MMVD)の食事管理

僧帽弁粘液腫様変性(MMVD)は、最も頻度の高い犬の心疾患です。現在の栄養ガイドラインは、心臓のリモデリングが起こった​の犬への推奨に焦点をあてています。しかし、新しい研究により、心不全の徴候が現れるの早期の MMVD の犬において、心臓保護のための栄養素​ブレンド(CPB)が心機能を改善し、病気の進行を遅らせるのに役立つことが実証されました。

 

青のグラデーションの背景
ご存じでしたか?

犬のおよそ10匹に1匹は心臓病を患っており、MMVD の犬に特徴的な左心尖部からの心雑音​は、通常、動物病院での定期健診​で認識されます。1

キーメッセージ


  • 僧帽弁粘液腫様変性(MMVD)は、犬に最もよく見られる後天的な心疾患の原因です。1–3
    • 北米では、MMVD は犬の心臓病の約 75 % を占めます。1
    • 最も発生が多い​のは高齢な犬で、体重20kg未満の高齢の小型犬ですが、​ MMVD は大型犬にも起こり得ます。1,4
ACVIM による犬の MMVD のステージ

  • MMVD の犬は疾患の後期になるまで健康に見えます。しかし体内では、症状が出ていない​状態でも心臓は変化をしています。1
    • MMVD は進行が遅い病気ですが、進行率は予測が困難です。1
    • MMVD を持つ約 30 % の犬では進行性の疾患を発症します。2,5 
  • 現在推奨されている栄養ガイドライン​は、主にうっ血性心不全が発生した後の症状の管理に焦点を当てていますが、新しい研究によると、心臓保護のための栄養素​ブレンド(CPB)が早期 MMVD の犬の心機能を改善し、病気の進行を遅らせるのに役立つことが示されています。1,6,7
  • 6 ヵ月間の給与試験で、CPB入りの総合栄養食を​与えた早期 MMVD の犬では、主要な心機能検査の​測定値において臨床的な改善が示されました。6
    • 対照食の犬の 1/3 以上が B1 から B2 に進行しましたが、CPB 食を給与​した犬には進行が見られませんでした。
    • 左心房​の大きさは、対照食を給与​した犬では平均 10 % 拡大し、CPB 食を給与​した犬では平均 3 % 縮小​していました。
    • 僧帽弁逆流の重症度が、対照食を給与した 25 % の犬で悪化し、CPB 食を給与​した犬では 悪化した症例は10%のみで​、30 % は改善しました。
  • メタボロミクス研究により、CPBを給与した犬の臨床的利点​は、分子レベルで前向きな​変化と関連していることが明らかになりました。7,8
カンバセーション・スターター
会話のきっかけ

「MMVD はゆっくりと進行する病気であり、愛犬の日常生活に影響を与えることはないかもしれません。しかし、MMVD を発症した犬の約 30 % は、進行性の疾患を発症します。新しい研究によると、MMVD の進行を遅らせ、心臓の機能を改善するために、今すぐ愛犬の食事にできる栄養学的な変更があることが分かっています」

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関連ツールおよびコンテンツ:

MMVD を患う犬の心疾患と心不全の ACVIM 分類

心疾患の ACVIM 分類に関する短い動画をご覧ください。日本語の翻訳版のない英語の記事へのリンクです。

僧帽弁粘液腫様変性

新たな栄養介入が早期 MMVD の犬の心臓健康管理に変革をもたらす可能性があります。その背景にある科学について見てみましょう。

僧帽弁粘液腫様変性(MMVD)の食事管理

MMVD 初期の犬に新規の栄養的介入をすることで、心機能を改善し、疾患の進行を遅らせる可能性があります。

1 ~ 5 分

僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)の食事管理

僧帽弁閉鎖不全症(MMVD、僧帽弁粘液腫様 変 性 )は 犬 に 最 も 多 い 心 臓 疾 患 です。MMVDを有する犬の心臓の健康に重要な役割を果たす具体的な栄養素について見ていきましょう。

6 ~ 10 分

心臓の健康管理を変える

初期の僧帽弁粘液腫様変性のある犬のための新たな食餌療法。

日本語の翻訳版のない英語の記事へのリンクです。

20 分以上

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栄養と心臓の健康

心臓は非常に重要な臓器で、規則正しい速度やリズムを維持しサポートするために、特定の栄養素や持続的なエネルギーの供給に依存していますが、ペットの心臓の健康に栄養が果たす役割については見落とされることが多いです。

6 ~ 10 分

参考文献

  1. Keene, B. W., Atkins, C. E., Bonagura, J. D., Fox, P. R., Häggström, J., Fuentes, V. L., Oyama, M. A., Rush, J. E., Stepien, R., & Uechi, M. (2019).ACVIM consensus guidelines for the diagnosis and treatment of myxomatous mitral valve disease in dogs. Journal of Veterinary Internal Medicine, 33(3), 1127–1140.
  2. Borgarelli, M., Crosara, S., Lamb, K., Savarino, P., La Rosa, G., Tarducci, A., & Häggström, J. (2012). Survival characteristics and prognostic variables of dogs with preclinical chronic degenerative mitral valve disease attributable to myxomatous degeneration. Journal of Veterinary Internal Medicine, 26(1), 69–75. doi: 10.1111/j.1939-1676.2011.00860.x.
  3. Buchanan, J. W. (1977). Chronic valvular disease (endocardiosis) in dogs. Advances in Veterinary Science, 21, 57–106.
  4. Parker, H. G., & Kilroy-Glynn, P. (2012). Myxomatous mitral valve disease in dogs: Does size matter? Journal of Veterinary Cardiology, 14(1), 19–29. doi:10.1016/j.jvc.2012.01.006
  5. Borgarelli, M., & Häggström, J. (2010). Canine degenerative myxomatous mitral valve disease: Natural history, clinical presentation and therapy. Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice, 40, 651–663.
  6. Li, Q., Heaney, A., Langenfeld-McCoy, N., Boler, B. V., & Laflamme, D. P. (2019). Dietary intervention reduces left atrial enlargement in dogs with early preclinical myxomatous mitral valve disease: A blinded randomized controlled study in 36 dogs. BMC Veterinary Research, 15(1), 425. doi: 10.1186/s12917-019-2169-1
  7. Li, Q., Laflamme, D. P., & Bauer, J. E. (2020). Serum untargeted metabolomic changes in response to diet intervention in dogs with preclinical myxomatous mitral valve disease. PloS One, 15(6), e0234404. doi: 10.1371/journal.pone.0234404
  8. Li, Q., Larouche-Lebel, E., Loughran, K. A., Huh, T. P., Suchodolski, J. S., & Oyama, M. A. (2021). Metabolomics profiling analysis reveals deranged energy metabolism and amino acid metabolic reprogramming in dogs with myxomatous mitral valve disease. Journal of the American Heart Association, 10(9), e018923. doi: 10.1161/JAHA.120.018923.