演習シナリオ

ハーマンの診察:大型犬種でときどき後肢跛行があり、遊びたがらないことがある若齢成犬

ハーマンの診察

生後 15 ヵ月、未去勢のオスのワイマラナー

  • ハーマンは後肢の跛行が見られるために受診しています。飼い主によると、跛行は長時間の散歩の後や取ってこい遊びの後で起こりやすいとのことです。ハーマンは立ち止まって歩きたがらなかったり、遊びをやめてしまったりすることがときどきあります。伏せの姿勢から立ち上がる時や、車への乗り降りの際にこわばっているようにも見えます。
  • ハーマンは、幼犬用と成犬用のドライフードを混合したものに、生のステーキの細切れを少し乗せたものを食べています。飼い主はフードのブランドを覚えていませんが、幼犬用のドッグフードも成犬用のドッグフードも大型犬用という表示はありません。また、飼い主は毎日カルシウムのサプリメントも与えています。
  • ハーマンのボディコンディションスコアは 9 段階の 5~6、体重は 36 kg、筋肉量は正常です。
  • 検査時に、左右どちらも股関節の伸展を嫌がるそぶりを見せました。しかし、興奮しやすい性質であるため、反応の見極めはやや困難です。それ以外には健康状態に問題はないように思われます。

仔犬

大型犬や超大型犬の仔犬の食餌

成長期の仔犬は、成犬に比べて多くのエネルギーを必要とします。生後 4 ヵ月までの仔犬の体重 1 kg あたりエネルギー必要量は、同じ犬種の成犬のおよそ 2 倍です。仔犬が成長するにつれ、エネルギー必要量は減少し始めます。大型犬や超大型犬(犬が理想的なボディコンディションスコアであると仮定した場合に期待される成犬時の体重が 45 kg[100 ポンド]超)では、成犬時の体重に到達するのかなり時間がかかります(最大で生後 24 ヵ月)。そのため、比較的ゆっくりと安定した成長速度になるように食餌を与えることが目的となります。成長速度が速すぎると、発達中の骨や関節にストレスがかかり、骨格形成異常につながることがあります。

A large breed puppy

 

カロリー必要量は、犬によって大きなばらつきがあります。正常な成長とやせ型の健康体型を維持するには、ペットへの給餌を個別に行う必要があります。ぽっちゃり体型の体重の重い仔犬は健康な仔犬とは言えません。仔犬の体型(Purina のボディコンディションシステムを使用)と体重は、自宅だけでなく、獣医による定期診察時にも継続的にチェックする必要があります。 

キーメッセージ


会話の手始め

「[犬の名前]ちゃんのような大型犬や超大型犬の仔犬は、骨が完全に成熟するまで最大で 24 ヵ月かかることがあります。その間は、完全でバランスのとれた仔犬用のフードを与える必要があります。仔犬には、成犬と同様に個体差があるため、体型をチェックし、それに従って給餌量を調節することが重要です。自由に食べさせるのではなく、計量カップやキッチンスケールを使用して給餌量をはかるとよいでしょう。そうすれば、わんちゃんをゆっくりと健康に成長させて、骨格の問題が発生するリスクを軽減できますよ。

関連ツールおよびコンテンツ:

Purina ボディコンディションシステム

Purina ボディコンディションシステムは、ペットの体組成を評価する簡単で実用的なツールです。

概要を見る 1 ~ 5 分

ボディコンディション評価の実施方法 - 犬

犬のボディコンディションスコアはわずか 3 ステップで評価できます。

動画を観る 1 ~ 5 分

市販ペットフードに関するキーワードの定義

この用語集では、市販のペットフードの説明に使用されるキーワードについて定義し、2 つの重要団体の役割について説明します。

飼い主と共有するには:

犬のボディコンディションを評価する

犬のボディコンディションはわずか 3 ステップで評価できます。

動画を観る 1 ~ 5 分

仔犬の成長速度

身体の大きさは仔犬の成長速度に影響を与えます。

概要を見る 1 ~ 5 分

その他のリソース

Case, L. P., Daristotle, L.,  Hayek, M. G.,  &  Raasch, M. F. (2011). Canine and feline nutrition (3rd ed.). Mosby. doi: 10.1016/B978-0-323-06619-8.10025-8 

Linder, D. E. (2017). Diets for each life stage. Cliniciansbrief.com 

Eisner, E. R. (2003, July 13). Professional and home dental care of the adult dog and cat. In Recent advances in dental health management [Symposium]. Proceedings of the 8th World Veterinary Dental Congress. Kyoto, Japan, 8–15. ​

Lawler, D. F. (2008). Neonatal and pediatric care of the puppy and kitten. Theriogenology, 70, 384–392.