演習シナリオ

黒白のボーダーコリー

チャンプの紹介

4 歳、去勢手術済みのオス、ボーダーコリー

  • チャンプは、年 1 回の身体検査とワクチン接種のために来院しています。
  • 飼い主の説明によると、チャンプは活動的なアスリート犬であり、アジリティ競技やハーディング競技に参加しています。また、飼い主の農場で「使役犬」としても活動し、家畜の移動を手伝っています。
  • チャンプの飼い主の報告では、競技や移動に関係するストレスから、チャンプは軟便になるときがあります。飼い主は、軟便への対応策として、チャンプの食餌を生食に切り替えましたが、それでも問題は解決していません。

食餌の考え方

生のペットフードを与える際に考慮すべきこと

生肉食は一部の飼い主の間で人気があります。しかし、消化性が高いことを除き、生肉食に特別な健康上のメリットがあるという科学的な証明はありません。それどころか、生のペットフードによって、いくつかの重大な健康リスクが発生するおそれすらあります。   

生の魚、赤身肉、鶏肉が並んだところ

キーメッセージ


  • 生の肉、鶏肉、魚は、人間が消費するものも含め、サルモネラ菌大腸菌などの病原菌で汚染されている可能性があります。この種の細菌はペットにとって有害であるだけでなく、飼い主の家族にもリスクが生じるおそれがあります。いくつかの研究により、ペットに生食を与えていると、通常の市販ペットフードを与えている場合に比べ、家庭内の病原菌数が多いことが明らかになっています。
  • また、生食に含まれる骨もペットにとっては有害であり、歯や口腔内の損傷、窒息、消化管の閉塞や穿孔を生じる場合もあります。
  • 「完全」な生の食餌と記載されている市販ペットフードであれば、犬や猫にとって適切なバランスの栄養素を提供する可能性はありますが、多くの製品はそうではありません。また、自家製の生の食餌も完全でバランスのとれた栄養を提供していない場合があります。栄養的にバランスのとれていない食餌の影響はすぐにはっきりと現れるわけではありません。しかし、成長の阻害や繁殖での問題を含め、その影響はペットの生涯にわたって続く可能性があります。
会話の手始めの背景画像

「ペットの食餌として自家製や市販の生の食餌を考えているなら、まず動物栄養学の認定専門家に相談することをお勧めします。ペットは生のペットフードを喜んで食べるでしょうし、一定のメリットもあるかもしれません。しかし、ペットや家族の健康上考慮すべきことがいくつかあり、飼い主さんはそれを知っておく必要があります。」

関連ツールおよびコンテンツ:

生肉ベースの食事:利点とリスクに関する最新のエビデンス - Beth A. Hamper、DVM、PhD、DACVN

生肉をベースとした食事はペットに適しているのでしょうか。

論文を見る 11 ~ 15 分

飼い主と共有するには:

ローフードの食事

ローフードの食事は飼い主の間で人気がありますが、栄養学的なメリットは実証されていません。また、ほとんどの飼い主は、ローフードがペットと人間にもたらす健康リスクに気づいていません。

追加のリソース

Freeman, L. M.,  Chandler, M. L.,  Hamper, B. A.,  &  Weeth, L. P. (2013).Current knowledge about the risks and benefits of raw meat-based diets for dogs and cats. Journal of the American Veterinary Medical Association, 243, 1549-1558. doi: 10.2460/javma.243.11.1549 

Lenz, J.,  Joffe, D.,  Kauffman, M.,  Zhang, Y.,  &  LeJeune, J. (2009).Perceptions, practices and consequences associated with foodborne pathogens and the feeding of raw meat to dogs. Canadian Veterinary Journal, 50, 637-643.